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Bathtub

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Bathtub




「マスター、僕も入っていいです?」
「もう入って来てるじゃないか。」
「湯船に。」
「無茶言うな。 こんな狭いところに。 じゃあ私が上がるから、お前が先に浸かりなさい…。」
「ああっ結構ですって。 まだ入られたばかりじゃないですか。」
「アナキン、お前だけでも寺院内の銭湯に行けば良かったのに。 どうした。」
「一人でぇ!?」
「嫌なのか?」
「マスターと一緒でなきゃぁ…。」
「パダワン、お前はいくつになったんだ。」
「17です。 いや、面倒なんですよ。 人に話しかけられるのとかが。 折角寛ぎに行ってるのに、つまらない気を使うのは嫌だなぁ。 一人だと余計に話しかけられるし…。」
「外交が苦手ではジェダイ・ナイトは務まらないぞ? そういった意味では、あそこは格好の訓練の場だ。」
「う~ん。」
「お前がテンプルに来たばかりの頃は、風呂そのものを嫌がってたな。」
「慣れてなかったからですよ。 タトゥーインでは水はとても貴重ですからね。 それまでソニックシャワー以外は使った事がなかったから。 石鹸とかで身体洗うのも初めてだったし…。」
「それから湯船で滑って溺れかけた事もあったなァ。」
「あれは単に慌ててただけですってば。 だって、泳いだ事もなかったんですよ!?」
「で、泳ぎ方を教えたんだが…。」
「あれ、場所が悪かったですよね。 「浴場で泳ぐな~っ!!」って、マスター・ウィンドゥに見つかって、二人とも、その場でガミガミ叱られたじゃないですか。」
「うむ。 空いていたから少しくらい構わないかと思ったのが不味かった。」
「でもそれからの市民プール通いで、僕、マスターを抜きましたもんね!」
「お前は呑み込みが早いよ。 その調子でジェダイ・コードも頭に入らないものか。」
「僕は文系は苦手なんですよ。」
「遂に認めたな。」
「はは…ハ、ハクションッ!」
「馬鹿。 シャワーだけ浴びてそんなとこにいるから…。 仕方のない奴だなぁ。 いいから、入りなさい。」
「わーい、ヤッタァ!」
「何が「わーい」なものか…。」



「あーあ、お湯が溢れちゃいましたね。」
「全くだ。」
「今日の入浴剤は何です?」
「さぁ、ヒーラーに肩こりに効くものを…と出して貰った薬用のだから。」
「肩、こってるんですかマスター。」
「報告書の他に、誰かさんの始末書も書かねばならないからね…。」
「あぅ、すみません、マスター…。 では、お詫びに風呂上りにマッサージして差し上げますョ。」
「いや、遠慮しておこう。」
「え~っどうしてー!? やらせて下さいよォ~。」
「そう言ってお前、直ぐ、くすぐるもの。」
「それ、何年前の事ですか。」
「フフ。 じゃあ後で頼もうか。」
「はい、マスター。」
「大きくなったものだ。」
「僕にはマスターが縮んだように見えます。」
「そんなものかなぁ。」
「だって、溺れない様にって抱いてくれてたこの腕とか…。」
「もう、その必要も無いがな。」
「少し寂しい気もするなぁ…。」
「私はお前が育っていくのが楽しみだったよ。」
「そう言えばマスター、僕に「食べろ食べろ」って、喧しかったですね。」
「お前は好き嫌いが無かったのに、一時期、言わなきゃ余り食べようとしなかっただろう。 私が子供の頃なんか、言われなくったって、どんな状況であっても口に入れていたぞ。」
「大きい子供だったそうですね。 でも身長が止まったのが早かった?」
「マスター・クワイ=ガンくらいには伸びたかったものだが…。」
「じゃあ、マスターに代わって僕が伸びでみせますよ。」
「そうか。 ははは。」
「そろそろ上がりましょうか。」
「ああ、そうしよう。」



おわり




<2003.1.26> by TOKISADA NAVA
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